魚の分類について

魚類の分類は、脊椎動物亜門の下に無顎上綱と顎口上綱を設け、そこに魚類および四肢動物を含めます。 魚類からは四肢動物(両生類、爬虫類、鳥類、哺乳類)が分岐して生まれています。ただし「魚類」の範囲がどこまでかは 曖昧さが残る部分であるようです。

無顎類

無顎類とは、脊椎動物のうち、顎を獲得する前に分岐した系統群のこと。例えば史上最古の魚類とされるミロクンミンギア、 ハイコウイクチスなども無顎類です。無顎類のうちほとんどが絶滅種ですが、現在でも生息しているヌタウナギ類とヤツメウナギ類に関しては 円口類と呼ばれ、分子系統や詳細な系統解析から単系統のクレードをつくるとの説が提唱されているようです。その一方で、 ヤツメウナギと顎口類が単系統になるとの説もあるようです。

脊椎動物の進化において、無顎類は重要な位置を占めます。最古の無顎類の化石は、カンブリア紀後期の地層から発見されています。 あまり遊泳力がない、皮骨で覆われたオタマジャクシのような姿をしていたそう。つづくオルドビス紀に多様化が進み、シルル紀、 デボン紀になると、体側は丈夫な骨質のよろいのような皮骨で覆われ、鰭状の器官や奇妙な突起を発達させました。 ほとんどの種はデボン紀末期に絶滅してしまったようです。

ヌタウナギ

ヌタウナギは、ヌタウナギ綱に属する生物です。生きた化石と呼ばれるグループの一つであり、脊椎動物の起源と進化を 考える上で重要な動物です。無顎類に共通する重要な特徴として、顎を持っていません。体は細長くウナギ型で、皮膚は粘液に 覆われています。体の両側に1~16対の鰓孔があります。ヤツメウナギの仲間では鰓孔は7対で、「7個の目」と呼ばれる箇所です。 3~4対の口ひげを持ち、骨格を持たず体は極めて柔軟です。口の周りには歯を持ちませんが、舌の上に歯状突起があり、 大型の魚に吸着し内部を侵食します。鰭は尾鰭のみで、腹鰭・胸鰭などの対鰭を持たず、卵巣と精巣を両方持ちますが、 機能しているのはどちらか一つだそう。目は退化的で皮膚に埋没し、外見からは確認できません。眼球には水晶体がなく、 特に深い海に生息するホソヌタウナギ属では網膜の発達も悪い場合が多いようです。一般に腐肉食性で、クジラや他の大型魚類などの 死骸に集まる姿が観察されています。

ヤツメウナギ

ヤツメウナギは、無顎類頭甲綱ヤツメウナギ目に属する動物です。一般に脊椎動物として最も原始的な形質を持った動物の一つであると 認知されています。外見の類似から「ウナギ」の名を冠してはいても、ウナギとは無縁の動物です。体の両側に7対の鰓孔があり、 それが一見眼のようにみえることから本来の眼とあわせて「八目」と呼ばれています。鱗のない体は細長いウナギ型で、種によって 体長13-100cmと幅があります。脊椎動物の中でも、顎を持たないなど、顎口類には見られない"原始的"な特徴を数多く保持しています。

顎口上綱

顎口上綱とは、顎を持つ脊椎動物をまとめた分類群のこと。分類学的には伝統的に上綱として扱われ、魚類、鳥類、哺乳類などを含みます。 最近発見された化石による研究から、かつて栄えたテロードゥス類は分類学的に顎口上綱に近かったと考えられています。 顎は、かつてえらを支える器官だったものが発達し、次第に効率的に口を開け閉めして水をえらに運ぶ働きを持つようになったものだと 考えられています。こうして口は次第に大きく、幅広くなり、獲物を獲得しやすくなっていきました。 板皮類は鋭い骨盤を歯の代わりに使います。顎口上綱の生物のもう一つの大きな特徴はニューロンの髄鞘と適応的免疫システムです。 顎口上綱はオルドビス紀に初めて登場し、デボン紀には一般的になりました。

板皮類

板皮類は、古生代デボン紀に世界中の海域で繁栄した原始的な魚類の一群です。ほとんどの仲間はデボン紀末期までに姿を消し、 石炭紀前期に絶滅してしまいました。板皮類は顎に骨を備えた最初の脊椎動物。真の歯はもたず、歯状の突起に変形した顎骨によって、 獲物を効率よく捕食することが可能となっています。頭部から肩部にかけての胴体は頑丈な骨板によって覆われ、板皮類の独特な 外見を作り出しています。この装甲は関節によって接続された複数の甲板からなり、種類によっては可動性をもちます。 脊椎動物としては最古の、胎生による繁殖を行うグループも化石から発見されています。板皮綱は単系統群であることが 確実視され、Nelson(2006)の体系では顎口上綱に属する残るすべての仲間の姉妹群として位置付けられています。

軟骨魚綱

軟骨魚綱とは、サメ、エイ、ギンザメの仲間を含む、脊椎動物亜門の下位分類群のこと。軟骨魚類とも呼ばれています。 世界中の海洋に広く分布し、一部淡水域にも生息します。また、海水域と淡水域を自由に行き来できる種も存在するようです。 深海種も多く、ギンザメ類はそのほとんどが深海に生息します。脊椎動物の中でも比較的原始的な分類群であり、最古の化石記録は 古生代シルル紀後期の地層から見つかった鱗の破片で、約4億年前の古生代デボン紀には大規模な多様化を遂げたとされています。

軟骨について

軟骨魚類は硬骨魚類のような硬骨ではなく、軟骨で全身の骨格を形成します。脊椎動物の頭蓋骨は板皮類の皮骨起源で、本来硬骨であり、 軟骨魚の頭蓋骨は二次的に軟骨化したものです。歯は系統発生上も個体発生上も上皮組織由来ですが、通常の硬骨より硬く緻密です。

浮力調節について

軟骨魚類は鰾を持たず、肝臓に水より比重の軽い油を蓄積することで浮力を調節するため、とくに外洋性の種では肝臓が大きく、 たとえばヨシキリザメでは体重のおよそ5分の1を占めます。

噴水孔

軟骨魚類には眼の後方に噴水孔・呼吸孔と呼ばれる左右一対の孔があります。脊椎動物の顎が鰓弓の変化によってできた時、 前方の鰓孔から鰓がなくなった後の痕跡です。通常、遊泳型のサメでは単なる孔ですが、底棲のサメや特にエイでは呼吸のための水の 取り入れ口となっており、口から海底の砂を吸い込むことなく呼吸ができます。顎の形成前の鰓孔起源で、原始的な特徴と考えられていて、 現生の硬骨魚類では、チョウザメを除いて消失しています。

ジンベエザメ

ジンベエザメは、テンジクザメ目ジンベエザメ科に属する濾過摂食性のサメで、 サメとして軟骨魚類として現生最大であり、 そして現生最大の魚として知られています。世界中の熱帯・亜熱帯・温帯、その表層海域に生息し回遊しますが、ラグーン、珊瑚環礁、 湾内にも入り込むようです。また、水深約700mでも確認されています。特定の海域に留まる傾向の見えるメスに対し、 オスは広い海域を回遊するとされています。彼らは基本的に単独性であり、餌が豊富な海域でない限り集団を形成しないようです。

現在知られている個体記録の信頼に足る最大値は体長約13.7mです。体形は紡錘形で、体の幅は頭部で最も大きく、通常1.5m程度。 扁平な形の頭部を持ち、その正面の両端に小さな眼があります。横幅が最大で1.5mほどにもなる大きな口の中には、細かな歯が300-350本、 列をなしていまうs。5対の鰓裂は胸鰭原基の上前方にあります。体色は、腹部は白に近い灰色であすが、それ以外の全ての部分は 色合いが濃く灰青色であり、頭部・胸鰭・尾鰭には淡黄色の斑点を、胴部には白い格子の中に淡黄色の斑点が配された独特の模様を 持っています。さらにこの模様には個体ごとに個性が見られます。皮膚組織は分厚く、その厚みは最大値でおよそ10cmにもなります。 成体の尾鰭は普通は半ば三日月形で、ときに三日月形ですが若い個体のそれは下部が目立たず、上部だけが大きいという特徴を持つようです。